
ゲイリーは29erの発明家じゃない。でも、この惑星で最も多くの29erを作ったのは間違いなく彼である。フィッシャー29erの始まりは8年前。周囲は彼を白い目で見ていた(これはその時に始まったことじゃなかったけど!)。それでもゲイリーが29erを推し進めたのは、まず、29erの走行感が最高だったから。そして次に、26インチがマウンテンバイクの標準ホイールサイズとなった経緯や理由を、彼がいちばんよく知っていたからだ。
実はマウンテンバイクが26インチホイールを履くようになったのは、物理の法則や構造的特性の研究に基づいたものではなく、ゲイリーが仲間たちと地元のジャンクヤードや古道具屋あたりからかき集めてきた、自転車に使えそうな部品の山のなかに、たまたまあったのが26インチホイールだったというだけだ。ゲイリーらの手によって、1940年代や50年代の新聞配達用クルーザーはかくして、26インチホイールを備えたマウンテンバイクへと生まれ変わり、結局その時のホイールサイズがそのまま現在のマウンテンバイクの主流となったわけだ。
幸いゲイリーという男は、「常識」に疑問を投じることをためらわない。そして今や、29インチホイールはマウンテンバイク界でも最も急速に拡大している分野に。もちろんこれは業界に良い刺激となっている。29erは実に楽しい。そしてゲイリーは、大きなホイールについての1から10までを知り尽くし、他の誰よりも深い造詣を持ったバイクビルダーである。
要するに、29erはこれ以上なくゲイリーらしいバイクなのだ。